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この旅はマツバウンランがきっかけになった by・枝里子 |
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校庭に一輪青い細い花が咲いていた。
その花を仁が採り、みんなに見せた。
それを見て、初めの言葉は、「仁が花の命を殺した」という残酷なものでした。
私たちはみんな、地から花を摘みとることは花の命を取ることだと思っていた。
しかし、仁は否定した。仁はこう言った。「この花一輪で、この花と同じ花は名前と存在を知られることができた」と・・・。
(つづく) |
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レントゲン撮影の時、校庭の花を一輪折って、並んで待っている枝里子さんたちに、
「この花の名前知っている? バナナ点30点だよ」というつもりで、近づいて行きました。
そう仁が言う前に、上の、枝里子さんの言葉が返ってきた。野の花や小鳥の話をして、いのちを大切にする人間になろうというメッセージを送り続けていた仁に対する、鋭い批判と抗議がこめられているのを仁は感じました。口では「いのちを大切にしよう」と言っていても、そう言っている教員自身が、花を摘みとって、花の命を殺しているじゃないか。
そうじゃないんだよ、ということを枝里子さんたちに仁は話しました。
”なーんそれ。屁理屈やん。教員はいつもそうやって理屈でごまかす”・・・そんな感じの雰囲気でした。 |
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「この花の名前知ってる? 当てたら、バナナ点30点あげるよ」
と仁は授業の時のように、ゲームを始めました。みんな思い思いの名前を言います。当たりません。それで、ヒント。「葉っぱは何に似てる?」みんなが答える。「花は何に似てる?」「この花がいっぱい咲いていたら何に見える?」・・・生徒はついに正解を見つけました。 |
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マツバウンランという名前は、茎の部分が細く、松の葉のようだ。花の部分はランに似ている。そして、この花はいろんなところに雲のようにたくさんある。だからマツバウンランだ。
(つづく) |
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一輪のマツバウンランの花は桜子さんが貰ってくれました。 |
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仁からもらった花の名前。マツバウンラン。
きれいな紫色の小さな花が何個か一緒になってた。Thank you! by・桜子
(04・14) |
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押し花を作って思ったこと by・桜子 |
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マツバウンランの押し花を作るとき、ずっと前に作った四つ葉のクローバーの押し花を思
い出した。その四つ葉のクローバーは今でも持っているけど、それを作っているときは、四
つ葉のクローバーを見つけたときすっごくうれしくて、興奮してた。
でも、今考えたら、人間が永遠の命を持つとすっごく苦しくなってしまう(マンガの本を読ん
で&もし自分がそうなったらと考えたら)。だから、今は、ちょっと後悔している。
だって、マツバウンランも四つ葉のクローバーも命があるから咲いて、きれいになって、そ
して、枯れて命も終わる。だから、花がきれいだと人間が感じると思う。
だから、後悔している。でも、押し花を仁にやったときのこと思い出したら、すっごい笑顔が
出たから、ちょっと安心(?)した。 |
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桜子さんより、マツバウンランの押し花を貰ったとき、仁は、もう、単純に喜んだのでした。
一輪の花を、こんなにも大事にしてくれたことに正直驚きました。
そして、枝里子さんの「仁が花の命を殺した」を思い出したのです。
マツバウンランの心の話をしていて、突然、中間考査のレポートのテーマーを『一粒の麦』
にしよう、と言い出してしまいました。みんな、なんのことかわかりません。
そんな中で、ファービーがシスター大田との出会いを話してくれました。それで、シスター
大田に手紙を書こうということになりました。シスター大田の手紙を資料に『一粒の麦』につ
いて考えることになりました。 |
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シスター大田への手紙 by・ファービー |
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シスター大田。
この前はカードを下さってありがとうございました。
実は今度の中間考査で、”一粒の麦”についてのレポートを書かなければいけません。
しかし、一粒の麦の意味がよくわかりません。先生に、聖書の中に書いてあると教わっ
たので、シスターに聞いてみようと思い、お手紙しました。
是非教えてください。よろしくお願いします。
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お手紙を楽しみにしています by・千明 |
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私は今日、中間考査のレポートの題を聞いて驚きました。
『一粒の麦・・・』考えたこともありません。でも頑張ります。
シスター大田さんからのお手紙を楽しみにしています。
レポートは、テストの時間内に書くのですか? それとも、家で書いてきていいのですか?
あっ、レポートはどのくらい書けばいいのですか?
仁、教えてください!! (04・27) |
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そして、お手紙が来た by・シスター大田 |
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お手紙只今受け取りました。回答します。
一粒の麦が、地に落ちて死ななければ、
それは一粒のまま残る。
しかし、死ねば豊かに実を結ぶ。 |
これは(ヨハネ福音書12章の24節から26節までの神様のおことばです。)
聖書の中に、4つの福音書があって、その中のヨハネ福音書の中にあります。
(@ マテオ A ルカ B マルコ C ヨハネ)
意味、内容は、この世で、今、自分の命を愛する人は、それを失う。
自分のことだけ考えて、何もしない。よいことも、奉仕もしないでいる人。自己中心の人。
その人は本当の命を失います。(自分に死んでいないから)
しかし、この世で、自分の命を憎む人は、それを保って永遠の命を得る。
死ねば・・・とは、自分の生まれながらの性格にうち勝って、よりよい事に目を向け、
心を向けて、行動に移す事は、自分に死ぬるのです。
その人は豊かに実を結ぶ。
神様の前で(人の前ではなく)素晴らしい宝を手に入れる事になります。
実を結んで、その人の本当の幸福を手にすることです。
この幸せは、お金のようになくなりません。
星の王子さまのように、私たちは、目に見える目先の事、インスタントに飛びつくのでなく、
見えないところで、私たちを生かしてくださっているすばらしい人との出会いがある事が、
最高の幸せです。 |
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(by・枝里子のつづき)
はじめは、なしかね? と思った。でも、これは発想の転換であった。
今まで花は好きだった。でも、ただ好きなだけで、愛せていなかったのだ。
この一輪のマツバウンランのおかげで、花を愛せるようになった。たった一輪で、他のた
くさんの花を愛せるようになった。ここで、やっと、仁の言葉の意味がわかった。(心で DO
IT! した。) この摘みとられた一輪は、幸せなんだ、と。だって、自分のおかげで、他の
みんなは知られることができたのだから。この花は、仁の<宝のポケット>の中にもいる。
地から摘みとられたけれど、しっかりと生きている。
「私はあなたに殺された」という花の言葉から、「ありがとう」という花の言葉に変わって聞
こえるような気がする。
みんなにもこう聞こえたら、あの一輪の花は、本当に「ありがとう」と言っているだろう。
あの花のおかげで、花たちはみんな幸せになっただろう。
☆一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それは一粒のまま残る。
しかし、死ねば、豊かに実を結ぶ☆
少しずつ、この意味がわかるような気がする。
私は仁が花や鳥と話をすると言うとき、いつも、バカじゃないと、っち思う。でも、本当は
誰でもできたことだったのかもしれない。
「花の命を殺した」っていうのは、「みんなに知られることができた」ということだと思う。
死なずに咲いていた花は気づかれない。しかし、たくさんある中のたった一輪の花が死
ねば、他の花は幸せになれる。たった一輪で、他の花は幸せになれた!
地から花を摘みとることは、必ず花を殺すことになるとはかぎらない。幸せになることもあ
る。 |
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枝里子さんは、シスター大田の手紙を読んで、「花の命を殺した」ということについて、もう
一度考えてみました。
歓迎遠足の時も、枝里子さんは、マツバウンランを見つけました。今まで気づかなかった
のに、あっ、ここにもあった、というふうにマツバウンランが目にはいるようになりました。勿
論もともと花好きの枝里子さんでしたから、他の花にも目がいくようになりました。何か、花
の方から語りかけてきているのではないかと仁には思えます。
枝里子さんのやさしいこころに花さんたちが語りかけるのでしょう。
<学びの心>が枝里子さんの<自分探しの旅>の出発点で始まりました。
<学びの心>を持つことができた枝里子さんは、たくさんのことに<気づき>始めます。
<学ぶ>ことは<気づく>ことです。
<気づく>ことは自分が新しくなることです。
マツバウンランとの出会いの日は、枝里子さんの記念の日になるでしょう。
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